Hatakeyama Iwao

2019/08/19 13:09・

清朝末期の中国で貧民の子の李春雲と大家の次男の梁文秀の立身出世の物語が
前半は核になっていきまう。歴史上の人物の西太后や袁世凱、孫文、伊藤博文らも登場して清朝末期の混沌とした世情を描いていきます。
中国が舞台なので、当然全編に漢字が多く使われますので慣れるまでは少し大変です。読めない漢字も多く、ルビは振ってありますが発音がわからない字も多いです。しかし、慣れると李春雲のけなげさが愛おしくなり、西太后とのやりとりなどは心温まるものがあります。西太后は流布されている怖い悪いイメージとは別の一面を描いていて、新しい見識も与えてくれます。
梁文秀ら若手政治家が言う正義感だけでは世の中が治まらないということもよくわかります。彼らの正義感が読み進むにつれ、嫌悪感が沸いてきたりもしまいます。保守権力側の従僕である李春雲のほうが、好感が持てたりします。このあたりの機微は浅田次郎らしく、なにが正義なのか考えさせられる物語運びです。
もちろん小説ですから創作なのでうが、日本ではわかりずらい清朝末期をわかりやすく書かれていて、歴史の勉強にも最適だと思います。日本と欧米の覇権争いなども、整理されて書かれているので教科書以上に勉強になります。
2010年に日中共同制作でNHKで全25話のテレビシリーズで映像化放映されており、田中裕子が西太后を演じて話題になりました。
作者の浅田次郎はこのあと、李春雲が登場する同時代の中原の虹や珍妃の井戸、マンチュリアンレポートなど書いています。

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