坂上 義人

2019/08/14 07:50・

■空母零戦隊カク戦エリ!戦記モノに興味のある人ならば読んでも損のない一冊■
本書は奈良県出身のエースパイロットである著者が第二次世界大戦の全期間を通して、南方戦線でいかに死闘を繰り広げたかが綴られている本ですが、強敵グラマンF6Fに対して性能面で劣る零戦を駆使しどの様にして勝利を得たのかを知る事ができる、戦記モノに興味がある人ならば決して読んでも損のない内容となっています。
零戦のこの手のノンフィクションは、どうしても坂井三郎氏の「大空のサムライ」が有名過ぎて、この手の本はマイナーになりがちですが、坂井三郎氏が戦闘中に目を負傷したせいで大戦後期には目覚ましい活躍をしていないのに対して、本書では大戦後期に現れたF6Fなどの性能面で零戦を圧倒する敵戦闘機に対して、多くの戦友を失いながらも著者がいかに戦い、そして敵を仕留め、どう生き残ってきたのかが手に取るようにわかります。
零戦はもともと空母から飛び立って戦う「艦上戦闘機」と呼ばれる戦闘機の一つなのですが、著者は空母「瑞鶴」の零戦隊に所属し人間関係に苦労しつつも、物資と人材、そして技術力が不足しているのにもかかわらず敵の新型機に立ち向かわなければならない絶望的な状況、大戦末期にはロクに飛行訓練もしていない新米パイロットがバタバタと敵の餌食になって戦死して行く様子など、そういった生々しい描写もかなり多いです。
これは私の私見ですが、現場の方々は大変な苦労をなされていたんだなと、読んでて辛い描写もかなりありました。
「永遠の0」などのヒットなどで、昨今はにわかに零戦が注目を浴びていますが、本書は当時の零戦パイロットの苦悩や生き様がよく分かる一冊となっています。

レビュワーによる他のレビュー