坂上 義人

2019/08/13 23:09・

■海外でも評価の高い本書。戦記モノを読んだ事がない人でも読みやすい、撃墜王の自伝的作品■
アメリカの辞書には"ZERO"の項目に数字のゼロの解説以外に零戦の解説があって、そこには「なかなか落とせない、速度の速い戦闘機」的な事が書かれているらしい。
真珠湾攻撃があるまでアメリカ人は「日本人はど近眼で背も低いから、近代的な戦闘機を操縦するのは無理。そもそも奴らにアメリカよりも性能のいい戦闘機なんか作れない...haha!」と相手を舐めきっていたのですが、当時のアメリカの主力戦闘機だったP-39、P-40、F-2Fよりも高性能な零戦が登場した事により、アメリカの陸海軍はパニックに陥ります。
当時、難攻不落で絶対に落とせないと言われていたB-17爆撃機が零戦に次々と落とされるに至って、日本軍が侮れない強敵である事を痛感します。
本書には、そんな開戦当初に大活躍したエースパイロットの坂井三郎の幼少期から話が始まって、中国戦線を経てフィリピン攻略戦(真珠湾攻撃と同じ日に決行)を経験し、対戦中頃まで最前線で戦い続けた筆者の体験談が書かれています。
私がはじめに書いた、アメリカの辞書の"ZERO"の項目にある「なかなか落とせない、速度の速い戦闘機」とは坂井三郎氏が乗った零戦の事じゃないかと錯覚するくらいに、氏は鬼の様な強さで太平洋で暴れまわります。
零戦自体は巷で言われてる様な最強の戦闘機ではなく、戦争開始後に大量に配備が始まったアメリカのF-4F戦闘機とほぼ同等の戦闘機だったのですが、戦争が始まって1年くらいはパイロット(当時の海軍では「搭乗員」と言った)の技量に天と地ほどの差があったため(※当時の日本のパイロットは日中戦争を経験し腕を鍛えていたが、アメリカのパイロットは実戦経験なし)、敵を圧倒していましたが、相次ぐ敏腕パイロットの戦死により、徐々に劣勢に立たされていきます。
本書では、それらの過程も事細かく書かれていて「何故、日本が負けたのか?」についても学べる一冊になっています。

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